ニコニコなどを見ているとゲームミュージックの好き嫌いで盛り上がっている所を良く見かける。私もビデオゲームは大好きなので当然好きな曲は沢山有る。しかし、聞いていてあることに気付いた。「曲が好き」と、「ゲーム演出として優れていると感じる」とでは若干違うのではないか、と。せっかくなので、滅多に触れられることの無い後者について語ってみようと思う。

 ゲームのBGMというのは色々な役割を同時にこなさなくてはならない音楽だと思う。プレイヤーを高揚させたり、緊張させたりといった心理操作は重要だし、背景や世界観を表現するためのメロディというのも良くある手法だ。ゲームだと、これに加えて効果音との調和や、イントロや流すタイミングの工夫も大切になってくると思う。映画の音楽演出と似ているかもしれない。なかなかここまで拘ったゲームにはお目にかかれないのが実情なのが悲しいところだ。過去、ハイレベルでこれらを実現していたゲームを思い出して挙げてみようと思う。

 メタルブラック(タイトー、STG):ステージ開始時には特徴的な曲のイントロと同時に、そのステージ内容を暗示するような背景が流れる。このとき、敵の攻撃等の邪魔は入らず、しかも画面にステージサブタイトルと曲名まで表示される念の入り様。そしてBGMはステージ終了してボスが登場するところでぴったり終了する(!)。

 レイフォース(タイトー、STG):最終ステージ、不安を掻き立てるようなやや単調な曲と共に、暗く狭い通路をイメージした戦闘が始まる。暫くすると通路を抜けて視界が一気に広がり、明るく荒涼とした広い空間に出る。この瞬間音楽が切り替わり、透明感のある次の曲のイントロがプレイヤーを包む。そしてSTGとは思えない静かな、静かな曲と共に最後の猛攻が始まる。

 ダライアス外伝(タイトー、STG):最終ステージはなんとBGMの無い無音状態からスタートする。そして暫く進むと、静かに、どこか物悲しいBGMがゆっくりと始まる。そして曲がサビに向けて音を強めるのにあわせてボス出現の警告メッセージ、サビと同時にボス出現(しかもこれが凝った演出のやつもあったり)という燃える構成。

 サムライスピリッツ(SNK/NEOGEO、格闘):所謂初代。どこまで製作者が狙ったのかは解らないが、このゲームはBGMの途中にやたら静かなパートがあったり、メロディが途切れる部分があった。そしてこのゲームは、背景のSEがやたらと強調されているゲームだった。波の音、風の音、松明の燃える音、竹林の竹の葉が擦れる音…そしてチャンバラゲームの肝である刀同士がぶつかり合う音。一瞬の静寂のなかに一杯に広がるそれらのSE…。

 タイトー祭。STG祭。映画の演出に近いせいか、強制スクロールは強いと思う。恐らく90年代初期のタイトーが、唯一、メーカーとしてこういったノウハウを蓄積していたんだろうと思う。そして色々な事情からか、こういった技術は継承されること無く今に至っていると思う。CD-ROM以降の大容量メディアが読み込みに時間がかかるせいでタイミングを取るのが困難だったり、音楽パートがゲーム製作に関わることなく、注文を受けて別ラインで製作するシステムになってしまったりなんだろうなと思う。ゲームファンとしては非常に残念。

 いつか、BGMをただ流すのではない、本当の意味で音楽に対して作り込んだゲームにまた巡り会えたらと願わずにはいられない。

コメント

KEM
KEM
2007年10月5日18:36

そういえばNAMCOのメトロクロスも違う意味で凝った音楽だったw

ゲームスタートからゲームオーバーまでがずっと繋がった一つの曲のように聞こえるよう調整されていて面白い。やや音が単調な昔のゲームだから出来た芸当かw
KEM

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